Japanese Diverダイビングが気持ちいい夏真っ盛り、皆さんはどこの海に潜りに行っていますか? 各ダイビングエリアも大いに賑わっていますが、くれぐれも注意していただきたいのが「事故」について。残念なことに最近、海の事故が非常に多くなってきています。

以下は海上保安庁より発表されている2011年の事故統計。データを見ると近年の傾向同様、「中高年の事故発生の増加」、「男性の死亡率の高さ」、「不注意と技量不足が原因の事故発生」、「病気が原因の事故発生」等が目につきます。

平成23年ダイビング事故の状況(PDF)
海上保安庁マリンレジャー ホームページより

上記のデータを確認することでダイビングには危険が伴うという認識をきちんと持ち、安全管理に高い意識を持ってダイビングを楽しんでください。また、以下に「安全ダイビングのためのポイント10」を紹介しますので、今後のダイビングに役立てていただければと思います。

自分自身の限界を知り、余裕を持ったダイビングプランを立てることが大切。迷ったときはより安全なほうを選びましょう。皆さんが安全に末永くダイビングを楽しめることを願っています。

安全ダイビングのためのポイント10

1.ダイビングは万全の体調で

せっかくのダイビング、少しくらい体調が悪くても潜りたい気持ちはわかりますが、万全の体調でないときはダイビングを中止しましょう。持病がある場合はもちろん、普段は健康な人でも当日の体調が下のチェックリストにあてはまる人は、ダイビングを避けるべき。万全の体調であればこそ、ストレスなくダイビングが楽しめます。「これくらい大丈夫」というちょっとした油断が大きな事故につながることもあるので注意が必要です。

◆当日のダイビング前のセルフチェック

1 熱はないか。 ない ある
2 過労または体のだるさはないか。 ない ある
3 昨夜の睡眠は十分か。 十分 不十分
4 食欲はあるか。 ある ない
5 過去12時間以内に飲酒された方 → 飲酒による体調不良はないか。 ない ある
6 下痢、脱水はないか。 ない ある
7 身体のどこかに痛みはないか。 ない ある
8 手足のしびれはないか。 ない ある
9 めまいはないか。 ない ある
10 耳、鼻、副鼻腔に閉塞感はないか。 ない ある
11 前回のダイビングの疲れは残っていないか。 ない ある
12 ダイビングをする意欲は十分にあるか。 ある ない

 

※ダイビングをする直前にチェックし、回答の右側にひとつでも○がついた場合は、ダイビングを避けて休養をとってください

2.ダイビングに必要な知識とスキルがきちんと身についているか

Cカードを取得するためのオープン・ウォーター・ダイバー・コースには、ダイビングに必須の38スキルの習得など、安全にダイビングを楽しむために最低限必要な知識とスキルがぎっしりと詰まっています。逆にいえば、ここできちんと知識・スキルが身についていないと、ダイビングの安全性に大きな問題が生じるということ。自分が納得いくまで、しっかりと受講することがおすすめ。もし不安がある場合は、インストラクターに相談して、苦手なスキルの克服に努めましょう。

>>【コラム】事故例から見る、ダイバー自身ができる対策

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PADIではコースの受講前に「危険の告知書」を読み、署名していただいているほか、ダイビングの前には「安全潜水標準実施要項了解声明書」を確認することを強く推奨しています。

ダイビング中に考えられる危険性、安全にダイビングを楽しむために必要なことが書かれていますので、内容をしっかりと読み、自分の準備がしっかりと整っているかどうか、改めて見直してみましょう。

不安がある場合はインストラクターに相談すること。PADIダイブショップのインストラクターが、あなたの不安を解消するお手伝いをします。

 

3.万が一のトラブルの対処法を身につけておこう

どんなに安全に気を配っていても、ダイビング中にトラブルが起こることはあります。そんなとき、慌てることなくスムーズに対処できれば、重大なトラブルに発展するのを未然に防ぐことができます。オープン・ウォーター・ダイバー・コースでも基本的なことは教わりますが、EFR(エマージェンシー・ファースト・レスポンス)やレスキュー・ダイバー・コースを受講すれば、さらに安全にダイビングを楽しむための知識やスキルを学ぶことが可能。早めの受講をおすすめします。

EFR(エマージェンシー・ファースト・レスポンス)
PADIレスキュー・ダイバー・コース

4.日頃の体調管理も重要なポイント

ダイビング当日に万全の体調で楽しむためには、日頃の体調管理も大切。適度な運動をして体力の維持に努めたり、ダイビング前は早めに就寝するなど、いい体調がキープできるように心がけましょう。病気やケガがある場合は、しっかりと治すこと。不安がある場合は、ダイビングに詳しい医師の診察を受けるなどして、ダイビングをするにあたっての不安を取り除いておくことがおすすめです。

ph03★ 「ダイバー検診」の受診もおすすめ
ダイビングに詳しい医師による「ダイバー検診」では、通常の健康診断に比べ、血圧や肺機能などダイビングに関連する部分を重視し、「ダイビングをするうえで問題ないか」という視点で診断してもらうことができます。興味のある人は受診してみては?

5.疑問や不安があれば、スタッフに相談を

ダイビングの大敵となるのが「ストレス」。ストレスの原因には、体調不良や、自分自身のスキルの不安などがありますが、ストレスを抱えたままでのダイビングは、水中でのパニックの危険性があり、重大なトラブルにつながりかねません。それを避けるには、ダイビング前にきちんとストレスを解消しておくことが大切。インストラクターやスタッフに、自分が疑問・不安に感じていることを伝えて、それらを解消しておきましょう。

>>【コラム】ガイドに自分の限界をしっかり伝えよう!

ph046.ブリーフィングで海況などをしっかり確認

ダイビング前に行なうブリーフィングも、安全にダイビングを楽しむうえで重要なポイント。単に海の中の見どころを確認するだけでなく、注意すべき潮の流れや海中環境、最大深度や潜水時間などの計画、万が一のトラブルの際の対処法などを、ガイドやバディと共にしっかりと確認する場となります。わからないことがあれば、恥ずかしがらずに質問しましょう。

7.バディと一緒に計画内でのダイビングを

最大水深や潜水時間など、事前に計画した範囲内でダイビングをしましょう。ダイビング中は、予定していた深度や時間を超えないように、ダイブコンピューターや残圧計をこまめにチェック。タンク内の空気が、ブリーフィングの際に決めておいた量になったら、バディに知らせてダイビングを終了します。日本ではファンダイビングの際、インストラクターやガイドが引率することが多いのですが、あくまでバディが第一。ダイビング中は常にバディとコンタクトをとることを意識しましょう。

>>【コラム】バディ・システム

ph068.セーフティグッズを携帯しておこう

ダイビング中には、予測していない潮の流れに巻き込まれたり、予定していたコースを外れてしまうことにより、漂流する可能性があります。そのような際にいち早く発見されやすくするために、シグナルフロートやホイッスル(写真)、ミラー、海面着色剤などのセーフティグッズを携帯しておくことがおすすめです。グループのリーダーだけでなく、全員が持つようにしましょう。

(写真)2012年より、アドバンスのクルーパックに、シグナルフロートとホイッスルもセット。各自が携帯するようにしましょう

9.危険性のある生物を認識しておくこと

ph07ダイビングで海の生物と接する際のルールは「触らない、追いかけない、脅かさない」。これを守っている限り、水中生物のほうから襲ってくることはまずありませんが、海の生物には危険性を持っているものもおり、何かの拍子に触れてしまう可能性もないとはいえません。きちんと認識し、海で見かけたら近寄らないように気をつけましょう。対処法も身につけておくことがおすすめです。

(写真)サンゴの天敵オニヒトデは、毒のあるトゲを持っており、刺されたダイバーが亡くなるという痛ましい事故も起きています。駆除しようなどとむやみに触ってはいけません。

10.暑さ、寒さの対策もお忘れなく

オープン・ウォーター・ダイバー・コースでも学習しますが、暑さ・寒さは体調に影響を与え、ダイビング中の安全性にもかかわってきます。特に気温が高い夏場に気をつけたいのが、熱中症や熱射病。こまめに水分を取り、なるべく直射日光が当たる場所は避けて、スーツは潜る直前に身に着けるようにしましょう。ただし、どんなに水温が高い場所でも、水中では熱が奪われやすいため、体の保温&保護は必須。頭から失われる熱は、全体の体温喪失の75%にも相当するといわれています。スーツはもちろん、水温の低い場所ではフードを着用するなど防寒対策をしっかりとって、快適にダイビングをするための工夫をしましょう。

ph08ブランクがあいてしまった場合は…

しばらくダイビングから離れてしまうと「ちゃんと潜れるかな?」と不安に感じがち。この不安はダイビング中のストレスとなり、久しぶりのダイビングが楽しめないだけでなく、パニックなどのトラブルなどにつながる可能性もあります。

そんな場合は、PADIダイブショップで開催されている「スクーバリビュープログラム」(リフレッシュコース)に参加して、もう一度ダイビングの基本をおさらいすることがおすすめ。スムーズにダイバーとして復帰できるはずです。

★万が一に備えて、保険にも加入しておきましょう!

どんなに安全に気を配っていても、事故を100%防ぐことはできません。万が一の事態に備えて、ケガなどを補償してくれる保険に入っておくことをおすすめします。 PADIの「PADIダイバーズ保険」は、傷害保険を基本に、ダイビングにかかわる部分の補償が厚くアレンジされており、器材が盗難にあった場合に補償される「携行品損害」も含まれているのでおすすめです。

>>PADIダイバーズ保険

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